千金に値する
投稿日:2021/04/16
恐ろしい時代になったものだ、こんな美少女がよくもまあ!《美少女》という語が彼女を名づけ、その見えざる手を掲げて宣誓している。《美少女》という概念が宿命となって彼女の小ぶりな頭に純金の王冠を戴かせ可憐な四肢を鉄鎖で縛り葡萄酒の真紅の香気でその血肉を染めている。その美は夜空を縦横に羽ばたく白鳥座のように、月の航路の如く白くゆたかに揺蕩う天の川のように、広大絶美なるが故に抽象的で、揮発する甘美な気体のように、一個の幸福な謎となって我々に押し迫る。が、山稜を掠める黎明の滑らかな肌を覆った夜霧の衣の消えていくように、瀟洒な風姿に似つかわしい少女趣味のスカートがめくれ下着が取れ薄い乳房の高みに珊瑚色の恥じらいを蕾ませた清水のような明澄な裸体を晒したとき、その肉体は初めて概念を抜け出し抽象の聖衣を拭い去り紅白の薔薇を溶かした荘厳なぬくみを具え出す。さしもの美しさ、狐狸にでも化かされたものかとソファーに屈み込んだ後ろを失礼すると、そこには九つの尻尾もなければ黒々しい尨毛もない。ただ下着の締め付けた跡を弓なりに残した福々しい張りのある肌に両側を挟まれ気持ちざらざらした粘膜らしい樺色の光彩に沈み込んで清浄無垢な闇を閉じ込めたあの括約筋のしわが開きかけた冥府の花のように息を潜めている。指を当てられ「力入れたり抜いたりできる?」と言われるがまま、その尾籠な動作の反復を画面いっぱいに広げるその赤褐色のみやびな襞を一心に集めてうごめく妖美な生き物。その羞恥を飾って、錦のほつれのような縮れ毛が、上のあたり、一本二本三本、いや四五本七八本、いや殆ど透けるほどの繊維のようなのが九本十本十一本とてんでの方向を向いて散っているのが読まれるばかり。流露する華やかな匂いに想像をめぐらせる我々は接眼レンズから太陽の黒点を見詰める少年のようにめくるめく芳烈な刺激に失明の危機を犯しながらも好色好奇嗜虐の瞳を注がざるを得ないのである。
この美少女の後ろ穴のもはや概念的な美しさだけでも値千金だが、着物の帯のようにたおやかな黒髪を乱して、大股開き、仰向き、跪き、跨り、跨られ、くねくねキュンキュン涼しい神聖さと反してますます生々しい少女の喘鳴を響かせながらやんごとなく揺すり揺すられするさまは、いや、いや、もう何も言うまい!小生は力尽きた。諸賢も聳立する金無垢の美の絶壁に押し拉がれて力尽きるがよい。